10月15日は「白杖の日」です。
白杖(はくじょう)とは、視覚に障害のある人が歩行するときに使用する白い杖のことです。
街中で白杖を持って歩いている人を見かけることがありますが、白杖には単に「杖」というだけではない、いくつもの大切な役割があります。
この日は、白杖の意味や役割を知り、視覚障害のある人が安心して外出できる環境について考えるきっかけとなる日です。
白杖の日とは?
「白杖の日」は、広島県広島市佐伯区を拠点とする視覚障害者の集い「白い三輪車の会」が制定した記念日です。
白杖が持つ意味や役割を多くの人に知ってもらい、視覚障害のある人が安全に歩行・生活できるようにするとともに、社会全体の理解を深めることを目的としています。
日本では2022年に一般社団法人・日本記念日協会により認定・登録されました。
10月15日という日付は、国際盲人連盟(現在の世界盲人連合)が1970年に10月15日を「国際白杖の日」と定めたことに由来します。
白杖にはどんな役割がある?
白杖には、大きく分けて三つの役割があります。
1.路面や周囲の状況を確認する
白杖を使って路面を探ることで、段差や障害物など、歩行するときに注意が必要な場所を確認できます。
白杖の先端で路面の状態を感じ取ることは、安全に歩くための重要な手段の一つです。
2.危険から身を守る
歩道の段差や障害物などを早めに確認することで、ぶつかったり、つまずいたりする危険を避けることにつながります。
白杖は、視覚だけでは確認しにくい足元や前方の情報を得るための道具でもあります。
3.周囲に視覚障害があることを知らせる
白杖は、使用している人の安全を守るだけではありません。
白い杖を持っていることによって、周囲の人や自動車の運転者に「視覚障害のある人が歩いている」と気づいてもらう役割もあります。
国土交通省の資料でも、白杖には路面や前方の状況を把握する役割と、白杖を使用していることで視覚障害者であることを周囲に認識してもらう役割があると説明されています。
白杖は「見えない人だけ」のものではない?
視覚障害というと「まったく見えない状態」をイメージするかもしれません。
しかし、実際の見え方は一人ひとり異なります。
光を感じられる人、物の輪郭が分かる人、視野の一部が欠けている人、色の判別が難しい人など、視覚障害の状態にはさまざまな違いがあります。
そのため、「白杖を持っている=まったく見えない」と決めつけることはできません。
国土交通省も、視覚障害の見え方はさまざまであり、白杖を使う人もいれば、使わずに歩く人もいると説明しています。
白杖を見るときには、外見だけでその人の状態を判断しないことも大切です。
白杖にはいろいろな種類がある
白杖には、一本のまっすぐなタイプだけでなく、折りたたみ式や伸縮式などがあります。
持ち運びや使用する場面に合わせて、さまざまな形状が用意されています。
また、白杖の中には、身体を支えることを主な目的とする「身体支持併用杖」もあります。
つまり、白杖といっても、すべてが同じ用途・形状というわけではありません。
重要なのは、その人が必要とする情報を得たり、安全に移動したりするための道具として使われているということです。
白杖を頭上に掲げる「SOS」のサイン
白杖には、知っておきたいサインがあります。
視覚障害のある人が外出中に助けを必要としている場合、白杖を頭上約50cmの高さに掲げて、周囲に助けを求める「白杖SOSシグナル」を示すことがあります。
国土交通省の資料では、このサインを見かけた場合は、進んで声をかけ、何に困っているのかを確認して支援するよう案内しています。
ただし、白杖を頭上に掲げていないからといって、困っていないとは限りません。
危険な場所にいたり、困っている様子があったりする場合には、状況を見ながら声をかけることが大切です。
声をかけるときに大切なこと
視覚障害のある人を見かけたとき、「何でも手伝わなければ」と考えてしまう必要はありません。
国土交通省は、「一人で歩いているから手伝いは必要ないだろう」と決めつけることも、「白杖を持っているから終始手伝わなければならない」と考えることも避けるよう示しています。
まずは「何かお手伝いしましょうか?」など、本人に確認することが基本です。
必要な支援は人によって異なるため、相手の意思を確認しながら対応することが大切です。
白杖を見かけたら、まず知っておきたいこと
白杖を持って歩いている人を見かけたとき、私たちにできることは特別なことばかりではありません。
例えば、
白杖を持つ人の進行を妨げない
点字ブロックの上に自転車や荷物を置かない
道をふさぐような場所に立ち止まらない
必要そうな場合には、まず声をかける
手助けをするときは、本人の希望を確認する
といった行動があります。
一人ひとりが少し意識するだけでも、歩きやすい環境づくりにつながります。
白杖の歴史にも「見つけてもらう」という意味がある
現在のような白い杖が広く知られるようになった背景には、「遠くからでも分かりやすくする」という考えがあります。
ライオンズクラブ国際協会の資料では、1921年に英国ブリストルの写真家ジェームズ・ビッグスが、交通量の多い場所で自分の存在を分かりやすくするため、杖を白く塗ったことが紹介されています。
その後、1930年代にはアメリカやフランスでも白杖を広める動きが進みました。
そして1964年には、アメリカで毎年10月15日を「国家白杖安全デー」とするための決議が承認されています。
白杖の白色には、歩行を支える道具としてだけでなく、周囲から認識してもらうための意味も込められてきたのです。
読者へのメッセージ
10月15日の「白杖の日」は、白杖という道具について知るだけの日ではありません。
私たちが普段何気なく歩いている道路や駅、横断歩道、商店街にも、視覚から得られる情報が少ない状態で移動している人がいます。
白杖は、そうした人の安全な歩行を支える大切な道具です。
そして、白杖を見かけたときに、その意味を知っているかどうかで、私たちの行動も変わってきます。
「白杖を持っている人がいる」と気づくこと。
「必要なら声をかけてみよう」と考えること。
そして、手助けをするときには相手の意思を確認すること。
こうした小さな理解の積み重ねが、誰もが安心して移動できる環境につながっていきます。
10月15日は、白杖の役割を知るとともに、普段歩いている街を少し違った視点から見つめてみる日。
白杖について知ることから、視覚障害のある人が安心して外出できる社会について考えてみてはいかがでしょうか。
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