私たちは毎日、重力の中で暮らしています。 朝起きてベッドから立ち上がることも、コップの水がこぼれずに入っていることも、投げたボールが地面に落ちることも、すべて重力があるからこそ成り立っています。 しかし、もし重力がなかったら世界はどうなるのでしょうか。 空中を漂う水滴、ふわりと浮かぶ人間、上下の感覚がなくなる空間――。 そんなSF映画のような世界を現実の研究として追い求めた町があります。 6月16日の「無重力の日」は、単なる科学の記念日ではありません。 そこには、炭鉱の町から宇宙研究へと挑戦した北海道上砂川町の物語と、人類が宇宙へ抱き続ける夢が詰まっています。 今回は、無重力の日の由来や日本が誇った地下無重力実験センターの歴史、そして知れば誰かに話したくなる無重力の雑学をご紹介します。 無重力の日とは? 無重力の日は、北海道の上砂川町が1991年(平成3年)3月に制定した記念日です。 日付は、 「む(6)じゅう(10)りょく(6)」 という語呂合わせから6月16日になりました。 この記念日が誕生した背景には、当時の日本が誇った最先端の研究施設「地下無重力実験センター」の存在があります。 現在では宇宙開発という言葉は身近になりましたが、1980年代後半の日本では宇宙関連研究はまだ特別な分野でした。 そんな時代に、北海道の小さな町が世界レベルの研究施設を建設したのです。 炭鉱の町から宇宙研究の町へ 上砂川町はかつて三井砂川炭鉱によって発展した町でした。 しかし、エネルギー革命による石炭産業の衰退によって全国の炭鉱町と同様に大きな転換期を迎えます。 そこで町が目指したのが「科学技術による地域再生」でした。 炭鉱で使われていた巨大な地下施設を新たな研究資源として活用する構想が生まれます。 そして1989年(平成元年)3月1日、日本初の本格的な地下微小重力実験施設として「地下無重力実験センター」が誕生しました。 これは単なる研究施設ではありません。 地域の未来を切り開こうとした挑戦の象徴でもあったのです。 地下710メートルの巨大実験施設 地下無重力実験センターの最大の特徴は、炭鉱時代の設備を活用した約710メートルの縦穴でした。 実験では、真空に近い状態にした縦穴の中へ実験カプセルを自由落下させます。 落下中のカプセルは重力の影響をほとんど受けない状態となり、約10秒間の微...
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