9月17日は「イタリア料理の日」です。
イタリア料理と聞いて、何を思い浮かべるでしょうか。
スパゲッティ、ピザ、リゾット、ラザニア、ティラミス――。
日本でもおなじみの料理が次々と浮かんできます。しかし、イタリア料理の魅力は、こうした有名な料理の名前を知るだけでは語り尽くせません。
実はイタリア料理は、その土地の気候、農産物、海の恵み、家庭の習慣、そして人々の知恵が一皿に表れた食文化でもあります。
9月17日は、そんなイタリア料理を味わうだけでなく、「なぜ、この料理がこの土地で生まれたのだろう?」と考えてみるのにもぴったりの日です。
9月17日は「イタリア料理の日」
「イタリア料理の日」を制定したのは、イタリア料理のシェフを中心に活動する**日本イタリア料理協会(ACCI)**です。
日付の9月17日には、イタリア語にまつわるユニークな語呂合わせが込められています。
イタリア語で「料理」や「台所」を意味する **cucina(クチーナ)**を、「ク(9)・チー(1)・ナ(7)」と読むことで、9月17日と結び付けています。
料理を意味する言葉そのものが記念日の由来になっているところに、「イタリア料理の日」らしい面白さがあります。
この記念日は、イタリア料理の普及・発展だけでなく、イタリア文化の紹介や、調理技術・知識の向上も目的としています。
また、一般社団法人・日本記念日協会によって認定・登録されています。
つまり9月17日は、単に「イタリア料理を食べよう」というだけの日ではありません。
料理を入口として、イタリアの文化や食に関する知識を深める機会でもあるのです。
「cucina(クチーナ)」は、単なる「料理」ではない
「cucina」という言葉から、もう一つ興味深いことが見えてきます。
イタリア語のcucinaは、「料理」という意味だけでなく「台所」を意味します。
台所は、料理を作る場所です。
しかし同時に、家庭の味が生まれ、親から子へ料理が伝わり、家族が食卓を囲む場所でもあります。
この視点からイタリア料理を見ると、レストランで提供される華やかな料理だけがイタリア料理ではないことに気付きます。
家庭で作られてきた素朴な料理や、地域に根付いた郷土料理もまた、イタリアの食文化を形づくる大切な存在です。
「イタリア料理の日」という記念日の背景に「cucina」という言葉があることを知ると、料理そのものだけでなく、その料理が生まれる場所にも興味が湧いてきます。
イタリア料理は「一つの料理」ではない
「イタリア料理」という言葉を聞くと、一つの統一された料理文化を想像するかもしれません。
ところが、実際には地域によって食文化がかなり異なります。
イタリアは南北に長く、アルプス山脈に近い北部から、地中海に面した南部や島しょ部まで、自然環境が大きく異なります。
当然、そこで育つ農作物も、手に入りやすい食材も違います。
その結果、地域ごとに独自の料理が発達しました。
たとえば北部では、米やバター、チーズなどを使った料理がよく知られています。
一方、南部ではオリーブオイルやトマト、魚介類などを生かした料理が目立ちます。
もちろん、こうした特徴には例外も多く、地域の中でもさらに細かな違いがあります。
だからこそ、イタリア料理を知ることは、イタリア各地の暮らしを知ることにもつながるのです。
北と南で違う「おいしさ」の背景
イタリア料理の地域差を考えるとき、単純に「北はこう、南はこう」と分類するだけでは少しもったいありません。
重要なのは、なぜその料理が生まれたのかという背景です。
その土地で豊富に採れる食材があれば、それを生かした料理が発達します。
寒さの厳しい地域では、保存性のある食材や乳製品などを使った料理が発達することがあります。
海に囲まれた地域では、魚介類が食卓を彩ります。
つまり料理は、土地の条件に対する人々の答えでもあるのです。
「この料理には何が入っているのか」だけでなく、「なぜ、この食材が使われているのか」と考えてみる。
それだけで、料理を見る目が一段深くなります。
トマトは、イタリア料理の「当たり前」になるまで時間がかかった
イタリア料理を象徴する食材の一つといえば、トマトです。
トマトソースのパスタやピザなど、現在ではイタリア料理とトマトを切り離して考えるのが難しいほどです。
ところが、トマトはもともとヨーロッパ原産の食材ではありません。
南アメリカ原産とされるトマトがヨーロッパへ伝わり、やがてイタリアでも利用されるようになりました。
現在の私たちからすると、「トマトとイタリア料理」は当たり前の組み合わせに見えます。
しかし、その「当たり前」も、最初から存在していたわけではありません。
新しい食材が伝わり、それを人々が試し、料理に取り入れ、地域の味として定着していく。
食文化は、こうした積み重ねによって変化していきます。
一皿のトマトソースのパスタを見ても、その背後には大陸を越えた食材の旅があるのです。
パスタは「麺」ではなく、形そのものが料理を変える
日本人にとってパスタは、非常に身近な料理です。
しかし、パスタの世界を少し掘り下げると、その種類の豊富さに驚かされます。
スパゲッティのような細長いもの、ペンネのような筒状のもの、平たいもの、ねじれたもの、詰め物をしたものなど、実にさまざまです。
ここで面白いのが、パスタの形は単なるデザインではないということ。
ソースとの絡み方や具材との相性、調理方法などによって、適した形が変わります。
濃厚なソースを受け止めやすい形もあれば、細かな具材と合わせやすい形もあります。
だからイタリア料理では、「どんなソースにするか」だけでなく、「どんなパスタを合わせるか」も料理を考える重要な要素になります。
次にパスタを食べるときは、味だけでなく、その形にも注目してみると新しい発見があるでしょう。
ピザも「一種類」ではない
日本でピザを注文するときは、具材やサイズを選ぶことが多いでしょう。
しかしイタリアに目を向けると、ピザにも地域によるスタイルの違いがあります。
特に有名なのが、南部のナポリを代表するピザです。
生地、トマト、チーズなど、比較的シンプルな素材を使いながら、焼き上げによって香ばしさや食感を引き出します。
一方で、イタリア各地にはそれぞれ異なるタイプのピザがあります。
同じ「ピザ」という名前でも、生地の厚さや食感、焼き方などによって印象は変わります。
「イタリア料理の日」には、こうした地域ごとの違いを意識して味わってみるのもおすすめです。
イタリア料理の魅力は「足し算」だけではない
イタリア料理の魅力として忘れてはいけないのが、素材の持ち味を生かす考え方です。
オリーブオイル、トマト、チーズ、ハーブ、野菜、魚介など、比較的シンプルな材料を組み合わせながら、それぞれの風味を引き立てます。
料理を豪華にするために、材料を次々と加えるだけが料理ではありません。
素材を選び、火加減を考え、組み合わせを工夫する。
ときには、あえてシンプルに仕上げる。
そこには、素材と向き合う料理人や家庭の知恵があります。
「少ない材料でも、どうすればおいしくなるのか」という視点は、家庭料理にも応用できる考え方です。
イタリア料理は「食卓を楽しむ文化」でもある
料理は、味だけで完成するものではありません。
誰と食べるのか。
どんな会話をするのか。
どのような時間を過ごすのか。
こうした要素も食事の印象を大きく左右します。
イタリア料理について調べていくと、地域の食材や郷土料理だけでなく、家族や地域と食卓を囲む食文化にも興味が広がっていきます。
一人で味わう一皿にも魅力がありますが、誰かと料理について語りながら食べることで、料理がコミュニケーションのきっかけになることもあります。
食事を「空腹を満たす時間」だけでなく、「文化を楽しむ時間」として考えてみる。
それも「イタリア料理の日」の楽しみ方の一つです。
9月17日に試したい「イタリア料理の楽しみ方」
せっかくのイタリア料理の日ですから、いつもとは少し違う楽しみ方をしてみてはいかがでしょうか。
1.いつものパスタを「形」で選ぶ
スパゲッティだけでなく、ペンネやショートパスタなどを選び、ソースとの組み合わせを比べてみます。
2.料理の「出身地」を調べてみる
ピザ、リゾット、パスタなど、好きな料理がイタリアのどの地域と関係が深いのか調べてみると、料理から地理への興味も広がります。
3.食材を一つ主役にしてみる
トマト、オリーブオイル、チーズ、魚介など、一つの食材に注目して料理を味わってみます。
4.イタリア語を一つ覚えてみる
今回の「cucina」のように、料理に関係するイタリア語を一つ覚えるだけでも、メニューを見る楽しさが増します。
5.「なぜ?」を一つ見つける
「なぜこのパスタはこの形なの?」
「なぜこの地域ではこの食材を使うの?」
そんな小さな疑問を一つ見つけて調べてみましょう。
食事が、そのまま小さな文化探訪になります。
読者へのメッセージ
9月17日の「イタリア料理の日」は、好きな料理をおいしく味わいながら、その一皿が生まれた背景にも目を向けてみませんか。
「この料理は、イタリアのどこから来たのだろう?」
「どうして、この食材が使われているのだろう?」
「このパスタの形には、どんな意味があるのだろう?」
そんな疑問を一つ持つだけで、いつもの食事が少し特別なものになります。
イタリア料理の魅力は、華やかなレストラン料理だけにあるのではありません。
家庭の台所を意味する「cucina」という言葉のように、日々の暮らしの中で料理を作り、食べ、受け継いでいくことにも、その魅力があります。
だからこそ9月17日は、パスタやピザを楽しむだけでなく、一皿の向こう側にある「土地」と「人」と「暮らし」まで味わう日にしてみてはいかがでしょうか。
料理の味だけでなく、その料理が生まれた背景まで知れば、いつものイタリア料理が今までとは少し違って見えてくるはずです。
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