9月9日は「救急の日」です。
「9(きゅう)9(きゅう)」という語呂合わせから、毎年9月9日は救急医療について理解を深める日とされています。
普段はあまり意識することのない救急医療ですが、突然のけがや病気、事故など、いつ自分や家族が救急車を必要とするかは分かりません。
救急車が到着するまでの時間、119番通報で伝える情報、そしてその場にいる人が行う応急手当――。
こうした一つひとつの行動が、救急隊や医療機関へ命をつなぐ大切な役割を果たします。
今回は「救急の日」をきっかけに、身近だけれど意外と知らない救急医療について見ていきましょう。
「救急の日」はなぜ9月9日?
「救急の日」は、救急医療や救急業務に対する理解と認識を深めることを目的として、1982年に厚生省(現在の厚生労働省)によって定められました。
日付は「9(きゅう)9(きゅう)」という語呂合わせ。
覚えやすい日付だからこそ、救急医療について考えるきっかけとしても分かりやすい記念日です。
また、9月9日を含む1週間は「救急医療週間」とされ、全国各地で救急に関する講習会や啓発活動などが行われています。
救急の日は、救急隊員や医療従事者の仕事に目を向けるだけでなく、私たち一人ひとりが「もしものとき、どう行動するか」を考える機会でもあります。
救急車は「病院へ行くための車」だけではない
救急車というと、「病院まで運んでくれる車」というイメージがあるかもしれません。
しかし、救急車の役割はそれだけではありません。
事故や急病などで一刻を争う場合、救急隊員は傷病者の状態を確認しながら必要な応急処置を行い、適切な医療機関へ搬送します。
つまり救急車は、単純な移動手段ではなく、傷病者を医療につなぐための重要な救急システムの一部なのです。
特に心停止などの一刻を争う状況では、救急隊が到着するまでの間に周囲にいる人が行う行動も非常に重要になります。
119番に電話するとき、何を伝えればいい?
突然の事故や急病が起きると、慌ててしまうのは当然です。
しかし、119番に電話した際には、まず落ち着いて状況を伝えることが大切です。
基本的には、
救急車が必要であること
現場の場所
何が起きたのか
傷病者の人数
傷病者の状態
通報者の名前や連絡先
などを伝えます。
住所が分からない場所であっても、近くの建物や交差点、店舗、駅など、目印になるものを伝えることで場所を特定しやすくなります。
スマートフォンからの通報では、自分が今いる場所を正確に説明できないケースもあります。
だからこそ、普段から自宅や職場、学校などの住所を確認しておくことも、いざというときの備えになります。
救急車を待つ間にもできることがある
救急車を呼んだからといって、そこで何もせず待っている必要があるとは限りません。
傷病者の状態によっては、119番の指令員から電話を通じて応急手当の方法を案内してもらえる場合があります。
例えば、心停止が疑われる場合には、胸骨圧迫などの心肺蘇生が必要になることがあります。
また、AED(自動体外式除細動器)が近くにある場合には、周囲の人がAEDを使用することも救命につながる重要な行動です。
AEDは、心停止した人に対して電気ショックが必要かどうかを自動的に判断し、必要な場合に使用方法を音声などで案内してくれます。
「医療の知識がないから何もできない」と考えるのではなく、119番の指示を聞きながら、その場でできることを行うことが大切です。
救急車を呼ぶか迷ったときは?
体調が悪くなったとき、
「救急車を呼ぶほどなのかな?」
と迷ってしまうこともあります。
特に夜間や休日には、病院へ行くべきかどうか判断しにくいケースもあります。
こうしたときに利用できるのが、救急相談窓口です。
地域によっては、救急安心センター「#7119」を利用して、救急車を呼ぶべきか、今すぐ医療機関を受診したほうがよいかなどについて相談できます。
ただし、対応地域や利用時間などは地域によって異なります。
明らかに生命の危険がある、意識がない、呼吸がおかしい、突然の激しい症状があるなど、緊急性が高いと思われる場合は、迷わず119番通報することが重要です。
「救急車を呼ぶべきか」を一人で判断しない
救急車を呼ぶことに遠慮してしまう人もいます。
「これくらいで呼んだら申し訳ない」
「もう少し様子を見てからにしよう」
と考えてしまうこともあるでしょう。
しかし、病気やけがの種類によっては、時間が経つことで状態が急速に悪化する場合があります。
一方で、緊急性のないケースで救急車が利用されると、本当に緊急の患者への対応に影響する可能性があります。
だからこそ大切なのは、「救急車を呼ぶ・呼ばない」を感覚だけで決めるのではなく、必要に応じて専門家へ相談することです。
「#7119」などの救急相談窓口を知っておくだけでも、いざというときの判断材料になります。
救急医療を支えているのは救急隊だけではない
救急医療というと、救急車や救急隊員を思い浮かべる人が多いでしょう。
しかし、その先には多くの人が関わっています。
救急隊員、医師、看護師、救急外来のスタッフ、検査技師、放射線技師など、さまざまな専門職が連携して患者を支えています。
さらに、119番を受ける通信指令員や、搬送先の医療機関を調整する人たちもいます。
救急医療は、一人の力だけで成り立っているものではありません。
通報する人、応急手当をする人、救急隊、医療機関がバトンをつないでいくことで、一つの救命につながっていくのです。
「救急の日」に覚えておきたい3つのこと
9月9日をきっかけに、最低限次の3つを覚えておくと安心です。
1.緊急時の電話番号は「119」
火災だけでなく、救急車が必要なときも119番です。
慌てていると電話番号すら思い出せなくなることがあります。
家族で確認しておくとよいでしょう。
2.AEDがどこにあるか確認しておく
駅、公共施設、学校、スポーツ施設、商業施設など、AEDが設置されている場所は身近にあります。
自宅や職場、学校など、普段よく利用する場所で「AEDはどこにある?」と一度確認しておくだけでも、いざというときの行動につながります。
3.応急手当を学んでおく
心肺蘇生やAEDの使い方などは、消防署や自治体などが開催する救命講習で学べる場合があります。
知識として知っているだけでなく、実際に人形などを使って体験しておくと、緊急時にも落ち着いて行動しやすくなります。
救急医療は「誰かのため」だけではない
救急の日に考えたいのは、救急医療が決して遠い世界の話ではないということです。
交通事故、転倒、突然の病気、家庭内でのけが――。
日常生活の中で、救急医療が必要になる可能性は誰にでもあります。
自分自身が救急車を必要とすることもあれば、家族や友人、街中で出会った人のために119番通報をする場面が訪れるかもしれません。
そのときに大切なのは、特別な知識をたくさん持っていることではありません。
「119番に連絡する」「場所を伝える」「指示を聞く」「できる応急手当を行う」
こうした基本的な行動を知っているだけでも、大きな意味があります。
読者へのメッセージ
9月9日の「救急の日」は、救急隊員や医療従事者に感謝するだけでなく、私たち自身が「もしものときに何ができるか」を考える日でもあります。
今日、自宅や職場、学校など身近な場所にAEDがあるか確認してみる。
家族と「救急車を呼ぶときは119」と確認しておく。
そして、機会があれば救命講習を受けてみる。
どれも小さな準備ですが、緊急時には大きな力になるかもしれません。
救急医療は、病院や救急隊だけが担うものではありません。
一人ひとりの「知っている」「行動できる」が、次の命へつながる可能性があります。
9月9日の「救急の日」を、普段は意識していない救急医療について考え、いざというときの備えを見直す一日にしてみてはいかがでしょうか。
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