9月11日は「たんぱく質の日」です。
たんぱく質と聞くと、「筋肉をつくる栄養素」というイメージを持つ人も多いのではないでしょうか。スポーツや筋トレとの結びつきが強いため、運動をする人のための栄養素と思われがちです。
しかし、たんぱく質は筋肉だけに必要なものではありません。
私たちの体を構成するさまざまな組織や、体内で働く酵素、抗体などにもたんぱく質が関わっています。
つまり、たんぱく質は特別な人だけが意識するものではなく、子どもから高齢者まで、毎日の食事を考えるうえで大切な栄養素なのです。
そして、「たんぱく質の日」が9月11日になった理由にも、たんぱく質を理解するための興味深い数字が隠されています。
今回は「たんぱく質の日」が制定された理由から、アミノ酸の仕組み、たんぱく質の役割、身近な食品との関係まで、毎日の食生活につながる視点から見ていきましょう。
「たんぱく質の日」は誰が制定した?
「たんぱく質の日」を制定したのは、牛乳・乳製品・菓子・スポーツ栄養などの食品事業や栄養事業を手がける株式会社明治です。
この記念日の目的は、多くの人にたんぱく質を摂ることの大切さを知ってもらうことです。
その背景には、たんぱく質の摂取不足が、さまざまな世代の健康上の課題につながるという問題があります。
子どもの体力低下、女性の栄養不足、中高年の基礎代謝の低下、高齢者の動きにくい体など、ライフステージによって抱える課題は異なります。
だからこそ、たんぱく質を「筋肉のための栄養素」だけではなく、幅広い世代に関係する栄養素として知ってもらうことが、この記念日の大きな目的となっています。
「たんぱく質の日」は、2021年(令和3年)に一般社団法人・日本記念日協会によって認定・登録されました。
なぜ9月11日なの?「9」と「11」の意味
9月11日という日付には、たんぱく質を構成するアミノ酸が関係しています。
人間の体をつくるたんぱく質は、主に20種類のアミノ酸から構成されています。
そのうち、体内で合成できない9種類を「必須アミノ酸」と呼び、それ以外の11種類を「非必須アミノ酸」と呼びます。
つまり、
9種類の必須アミノ酸+11種類の非必須アミノ酸=20種類
という関係です。
この「9」と「11」にちなんで、9月11日が「たんぱく質の日」とされました。
日付そのものが、たんぱく質とアミノ酸について知るきっかけになるよう考えられているところが、この記念日の興味深いところです。
たんぱく質とアミノ酸は、どうつながっている?
たんぱく質について考えるとき、切っても切れない関係にあるのがアミノ酸です。
たんぱく質は、多数のアミノ酸がつながってできています。
食事から摂ったたんぱく質は、消化の過程でアミノ酸などに分解されます。そして体内では、それらを材料として必要なたんぱく質がつくられます。
イメージするなら、アミノ酸は「材料」、たんぱく質は「材料からつくられた構造物」のようなものです。
20種類のアミノ酸をさまざまな組み合わせで利用することで、体内では多種多様なたんぱく質がつくられています。
その中でも、食事から摂る必要がある9種類が必須アミノ酸です。
この仕組みを知ると、毎日の食事が単に空腹を満たすだけでなく、体を維持するための材料を補給する時間でもあることが分かります。
たんぱく質は体のどこで活躍している?
たんぱく質の代表的な役割として知られているのが、筋肉を構成することです。
しかし、活躍する場所は筋肉だけではありません。
皮膚や髪、爪など、私たちの体を構成するさまざまな組織にもたんぱく質が関係しています。
さらに、体内の化学反応を助ける酵素や、免疫に関わる抗体などにもたんぱく質が使われています。
このことから、たんぱく質は、
「筋肉を増やすための栄養素」ではなく、「体をつくり、維持するための材料」
と考えると、その重要性がより分かりやすくなります。
なぜ世代を問わず、たんぱく質が大切なのか
たんぱく質の重要性は、年齢によって変わるというより、それぞれのライフステージで違った形で現れると考えると分かりやすいでしょう。
成長期の子どもにとっては、日々成長する体を支える食事が重要です。
仕事や家事で忙しい大人は、食事を簡単に済ませることで栄養が偏らないよう注意したいところです。
また、年齢を重ねると、食欲や食事量の変化によって必要な栄養を十分に摂りにくくなる場合があります。
スポーツをする人にとっては、運動量に応じた食事を考えることも重要になります。
このように、たんぱく質は一部の人だけに必要なのではなく、それぞれの生活や年齢に応じて考えたい栄養素なのです。
身近な食品からたんぱく質を摂る
たんぱく質を含む食品は、私たちの身近にあります。
代表的なのは、
肉
魚
卵
牛乳・ヨーグルトなどの乳製品
豆腐・納豆などの大豆製品
などです。
動物性食品と植物性食品の両方に、たんぱく質を含む食品があります。
たとえば、朝食なら卵や牛乳、ヨーグルト、納豆。
昼食なら魚や肉。
夕食なら豆腐や大豆製品など。
特別な食品を用意しなくても、普段の食卓にあるものからたんぱく質を摂ることができます。
また、食品によって含まれる栄養素は異なるため、一つの食品だけに偏らず、さまざまな食品を組み合わせることも大切です。
「プロテイン」だけがたんぱく質ではない
近年は、プロテイン飲料やプロテインバーなど、たんぱく質を手軽に摂れる商品も身近になりました。
しかし、「たんぱく質を意識する=プロテインを飲む」ということではありません。
まず考えたいのは、普段の食事です。
たとえば、パンだけ、おにぎりだけ、麺だけという食事が続いているなら、卵、魚、肉、大豆製品、乳製品などを組み合わせる方法があります。
プロテイン食品は便利な選択肢の一つですが、基本となるのは毎日の食事です。
「特別なものを追加する」前に、「いつもの食事を少し整える」という視点を持つと、無理なく続けやすくなります。
たんぱく質だけでなく、食事全体のバランスを
たんぱく質が重要だからといって、たんぱく質だけを多く摂ればよいわけではありません。
私たちの体には、炭水化物、脂質、ビタミン、ミネラル、食物繊維など、さまざまな栄養素が必要です。
そのため、
「たんぱく質を増やす」だけではなく、「たんぱく質を含めて食事全体を整える」
という考え方が大切です。
主食、主菜、副菜などを組み合わせ、できるだけ食品の種類を増やすことを意識すると、食事のバランスを考えやすくなります。
たんぱく質の日だからといって、肉やプロテインばかりに目を向けるのではなく、毎日の食卓全体を見渡してみましょう。
「たんぱく質不足」という社会的な課題
「たんぱく質の日」が制定された背景には、個人の食生活だけではなく、社会的な課題があります。
株式会社明治では、たんぱく質の摂取不足が、子どもの体力低下、女性の栄養不足、中高年の基礎代謝の低下、高齢者の動きにくい体など、健康リスクの因子となることから、たんぱく質摂取の重要性を広く知ってもらうことを目的としています。
さらに同社は、日本栄養士会や他の食品メーカー、全国の学校などと連携し、たんぱく質摂取不足という社会的な問題の解決を目指しています。
こうした背景を知ると、「たんぱく質の日」は単なる食品の記念日ではなく、私たち一人ひとりの食生活を考えるきっかけとして制定された日だということが見えてきます。
読者へのメッセージ
9月11日の「たんぱく質の日」は、9種類の必須アミノ酸と11種類の非必須アミノ酸という、たんぱく質に関わる「9」と「11」から生まれた記念日です。
その背景には、たんぱく質を摂ることの大切さを幅広い世代に知ってもらいたいという思いがあります。
たんぱく質は、筋肉だけをつくるものではありません。
私たちの体を構成し、さまざまな生命活動を支える大切な材料です。
そして、その材料は肉や魚、卵、乳製品、大豆製品など、毎日の身近な食卓から摂ることができます。
だからこそ、9月11日には特別なことをするのではなく、まず今日の食事を振り返ってみてはいかがでしょうか。
朝食に卵や納豆、牛乳などはあったでしょうか。
昼食は主食だけで済ませていなかったでしょうか。
夕食には肉、魚、大豆製品などが含まれていたでしょうか。
もちろん、毎食完璧にする必要はありません。
「今日は少し偏っていたかもしれない」と気づいたら、次の食事で別の食品を取り入れてみる。
そんな小さな意識からでも、食生活を見直すことはできます。
また、たんぱく質だけを増やすのではなく、主食や野菜なども含めて食事全体のバランスを見ることも忘れたくありません。
「自分の体をつくる材料を、毎日の食事からきちんと摂れているだろうか?」
9月11日は、そんな問いかけを自分自身にしてみる日。
たんぱく質を「筋肉のためだけの栄養素」と考えるのではなく、毎日の健康を支える身近な栄養素として見直してみる。
その小さな気づきが、これからの食生活を考えるきっかけになるかもしれません。
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