7月28日は、世界保健機関(WHO)が制定した「世界肝炎デー(World Hepatitis Day)」であり、同時に日本国内では「日本肝炎デー」としても位置付けられています。この日は、世界中で注目される肝臓疾患「肝炎」に対する啓発と予防、そして患者支援のための重要な日です。
世界肝炎デーの由来:ノーベル賞受賞者への敬意
7月28日は、B型肝炎ウイルス(HBV)の発見者であり、ノーベル生理学・医学賞を受賞したバルーク・サミュエル・ブランバーグ博士の誕生日に由来しています。彼の業績により、B型肝炎ワクチンが開発され、多くの命が救われることとなりました。この偉大な科学者への敬意と、肝炎という公衆衛生上の大きな問題に光を当てるため、WHOが正式に「世界肝炎デー」を2008年に制定しました。
日本肝炎デー:日本における啓発活動の意義
日本では、肝炎ウイルスの感染者数が非常に多く、B型肝炎・C型肝炎あわせて約300万人以上が感染しているとされています。特にC型肝炎は長年にわたって自覚症状が出にくく、**「沈黙の病」**とも呼ばれる恐ろしい疾患です。
こうした背景を受けて、厚生労働省は2011年より7月28日を「日本肝炎デー」と定め、全国各地で検査促進キャンペーン、講演会、啓発ポスターの掲示などの取り組みが行われています。
肝炎の種類と特徴
肝炎には、主にA型・B型・C型・D型・E型の5種類が存在し、それぞれ感染経路や重症度が異なります。中でも日本で最も多いのはC型肝炎であり、長期間の感染が肝硬変や肝がんにつながる重大なリスクを持ちます。
-
A型・E型肝炎:主に経口感染(汚染された水や食物など)
-
B型・C型肝炎:血液や体液を介して感染(輸血・母子感染・性行為など)
最新医療と治療法の進化
かつてC型肝炎は完治が難しいとされてきましたが、近年では飲み薬による治療で95%以上の治癒率を達成する画期的な治療法(DAA:直接作用型抗ウイルス薬)が登場しています。これにより、早期発見と適切な治療が、肝がんの予防やQOL(生活の質)の改善につながる時代となりました。
なぜ肝炎が「見逃されやすい」のか?
多くの肝炎ウイルス感染者は、自覚症状がまったくないまま進行してしまいます。そのため、気づいたときにはすでに重症化しているケースも少なくありません。
特に中高年層では、過去の予防接種や輸血などによってウイルスに感染している可能性があり、無料で受けられる肝炎ウイルス検査を一度も受けたことがない人も多いのが実情です。
各自治体での無料検査
現在、全国の自治体では40歳以上を中心に、肝炎ウイルスの無料検査を推進しています。一生に一度でいいから検査を受けてほしい——それが「日本肝炎デー」の最大のメッセージなのです。
読者へのメッセージ
7月28日は、未来の健康を守るための一歩を踏み出す絶好の日です。もしこれまで肝炎検査を受けたことがなければ、ぜひこの機会に調べてみてください。検査は痛みもなく、短時間で終わる簡単なものです。
「沈黙の病」は、知ることから予防が始まります。あなたや家族の大切な命を守るためにも、肝炎について知り、行動することが求められています。
コメント
コメントを投稿