日本の国民の祝日の一つである「山の日」は、2014年(平成26年)に制定され、2016年(平成28年)に施行された改正祝日法により新設された比較的新しい祝日です。日付は 8月11日。
その制定趣旨は「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」というもので、日本人と山との深い関わりを再確認するために生まれました。
制定の背景
山の日は、長年にわたって日本山岳会や自治体、登山愛好者などによる熱心な働きかけによって実現しました。日本は国土の約7割が山地で、古来より信仰、生活、文化、経済活動の基盤として山が大きな役割を果たしてきました。
一方で、祝日法において海を祝う「海の日」は存在していたのに、山を象徴する祝日がなかったことから、その必要性が高まりました。
なぜ8月11日?
8月11日が選ばれた理由にはいくつかの説があります。
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夏休みシーズンの中にあり、登山やアウトドア活動がしやすい時期であること。
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8月12日が「御巣鷹山航空機事故」の日であり、その日を避けた配慮から前日が選ばれたこと。
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「11」の形が、山の稜線を連想させるというユニークな解釈。
特に最後の理由は、シンボリックで覚えやすく、祝日のイメージ作りにも一役買っています。
山の日の文化的意義
山は日本文化において単なる自然景観ではなく、神聖な存在とされてきました。古代の山岳信仰や修験道、山の幸を活かした生活文化、そして四季折々の景観美。山は人々の精神性と密接に結びついています。
現代では、登山やハイキング、キャンプなどのレジャー活動を通じて、自然と触れ合い、環境保護の意識を高めるきっかけともなっています。
海の日との双璧
海の日が「海の恩恵に感謝し、海洋国家日本の繁栄を願う日」であるのに対し、山の日は「山の恩恵に感謝し、山岳国家としての文化を継承する日」。この二つの祝日は、日本の自然環境の両輪を讃える存在です。
読者へのメッセージ
山の日は、ただの連休や登山日和ではなく、私たちが自然と向き合うきっかけになる特別な日です。高い山も、小さな丘も、そこに広がる景色や空気は私たちの心と身体を癒し、力を与えてくれます。
この日を機に、近くの山や緑地を歩いてみたり、山の歴史や文化を学んだりすることで、日常生活では感じられない発見がきっとあるはずです。自然の恩恵に感謝し、未来へその美しさをつなげていきましょう。
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