5月13日。あまり聞きなれないこの日は、実は**「カクテル」という言葉が公式に定義された記念すべき日**です。
カクテルは今や世界中で愛されている芸術的な飲み物ですが、そのルーツをたどると、200年以上も前のアメリカにたどり着きます。そしてその歴史的な節目を記念する日が、まさにこの「カクテルの日」なのです。
「カクテルの日」の由来──世界で初めて“カクテル”が定義された日
1806年5月13日、アメリカ・ニューヨーク州で発行されていた新聞『バランス・アンド・コロンビアン・リポジトリ(The Balance and Columbian Repository)』の読者が、次のような質問を投げかけました。
“カクテルとは何か?”
この問いに対して、編集者は明確にこう答えます:
“カクテルとは、蒸留酒に砂糖、水、ビターズを加えた刺激的な混合飲料であり、元気を回復させる飲み物である。”
この記述こそが、**人類史上初めて文献上に記録された「カクテルの定義」**です。
以降、この日が“カクテルという文化の誕生日”として世界中で記念されるようになりました。
日本でも正式な記念日に──4団体による制定
日本国内でも、「カクテルの日」はただの海外の記念日ではなく、正式な“日本の記念日”として制定されています。
制定を担ったのは、以下の国内4団体です:
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日本バーテンダー協会(NBA)
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日本ホテルバーメンズ協会(HBA)
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プロフェッショナル・バーテンダーズ機構(PBO)
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全日本フレア・バーテンダーズ協会(ANFA)
これらは、日本のバーテンダー業界において高い専門性と影響力を持つ主要団体。
この4団体が共同で制定したことで、「カクテルの日」は日本国内でも公式な記念日としての地位を確立しています。
つまり、日本においても5月13日は、バーテンダーという職業の意義や、カクテル文化の奥深さを再認識する特別な一日とされているのです。
カクテルの語源──“Cocktail”の名前の由来とは?
「カクテル(Cocktail)」という語には、明確な語源は存在しません。とはいえ、いくつかの説が世界中で語られてきました。なかでも有名なものを紹介します。
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馬の尻尾説(Cock’s Tail):飲んだ人が元気になり、尻尾を立てて走る馬のように活力を得ることに由来。
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鶏の尾羽説:かつてバーテンダーが混ぜ棒として鶏の尾羽(cock tail feather)を使っていたことにちなむ説。
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フランス語“coquetel”説:フランス南西部で振る舞われた混成酒「coquetel」が英語圏に伝わったとする説。
いずれも信憑性がありながら、確定されていないため、カクテルという言葉にはミステリアスで詩的な魅力が漂います。
世界で愛されるカクテル文化──定番から革新へ
現代において、カクテルは単なるお酒の一種ではなく、**“飲む芸術”**として評価されています。世界中のバーでは、技術と創造力が融合した多様なカクテルが提供され、文化的象徴ともなっています。
代表的なクラシック・カクテルの例:
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マティーニ:洗練と緊張感のある一杯。映画『007』でおなじみ。
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オールド・ファッションド:1806年の定義に最も忠実な古典。
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モヒート:キューバ発祥、ミントとライムが爽やかな人気作。
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マルガリータ:テキーラベースの酸味が爽快なメキシコ名物。
さらに現代では、分子ミクソロジーやスモーク・カクテルなど、テクノロジーと演出を融合させた革新的な表現も登場し、進化は止まりません。
日本におけるカクテル文化の今
日本のバー文化は、繊細な味覚と美意識の高さで世界的にも評価されています。
東京や京都の有名バーは、海外からの観光客や業界関係者が訪れる「聖地」と化しており、ジャパニーズ・カクテルは今や世界ブランドのひとつです。
また、日本では近年、ノンアルコールカクテル(モクテル)やフルーツを贅沢に使った「インスタ映え」系ドリンクも人気で、若い世代にもその魅力が浸透しています。
なぜ「カクテルの日」を祝うべきなのか?
この記念日は、単に「お酒を楽しむ日」ではありません。以下のような文化的・体験的価値を含んでいます。
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文化の起点に触れる:200年以上続く飲料文化の始まりを知る。
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味覚を広げる機会:好みのカクテルを探すことで、自分自身の味覚に気づく。
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人とのつながりを生む:バーやイベントでの出会いや会話のきっかけになる。
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プロフェッショナルへの敬意:バーテンダーという職人たちの技術や想いに目を向ける。
まとめ:一杯のカクテルに込められた200年の物語を味わおう
5月13日「カクテルの日」は、世界中のバーテンダーとお酒好きが敬意をもって祝う特別な一日です。
日本でも公式に記念日として認められ、文化的意義を持つこの日。普段何気なく飲んでいる一杯にも、歴史と創造力、そして人と人を結びつける力が込められています。
今夜はグラスを片手に、200年前のアメリカから現代の日本へと続く「カクテルの物語」に、思いを馳せてみませんか?
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