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5月23日は世界亀の日(World Turtle Day)──時代を超えて生きる「甲羅の哲学者」たちに敬意を表す日

日差しが差し込む透明な海の中で、サンゴ礁の上を優雅に泳ぐウミガメの横長のAI写真

スピードが遅くても、確実に前へと進む。

その歩みに、私たちは何を学ぶことができるのでしょうか。

毎年5月23日は、「世界亀の日(World Turtle Day)」として、世界中でカメという生き物の魅力と重要性に光を当てる記念日です。
この日は、**アメリカの非営利団体「American Tortoise Rescue」**によって2000年に制定され、以来、カメの保護・啓発活動を広げるきっかけの日として世界中の動物愛護団体や教育機関で注目されています。


そもそも「世界亀の日」とは何か?その意義と背景

「世界亀の日」は、単なる“動物好きのための記念日”ではありません。環境保護・生物多様性・教育・文化継承という複数の要素を内包する、グローバルな意識向上運動の一環です。

カメは現在、地球上におよそ300種以上が存在しますが、そのうち半数近くが絶滅の危機に瀕しているといわれています。乱獲、生息地の破壊、違法なペット取引、海洋汚染など、人間活動による影響が深刻です。

そのため、世界亀の日には次のような活動が奨励されています:

  • 絶滅危惧種であるカメの保護への寄付・署名活動

  • 子どもたちへの教育(学校や博物館での展示・授業)

  • SNSを通じた啓発キャンペーン(#WorldTurtleDay)


進化と神秘の象徴──カメにまつわる驚きの雑学

1. 恐竜時代から生き続ける「生きた化石」

カメの祖先はなんと2億年以上前の三畳紀から存在していました。恐竜と同じ時代を生き延び、今なお現代の自然環境に適応していることから、「生きた化石(Living Fossil)」とも呼ばれます。

2. ギネス記録をもつ長寿のカメ

最も長生きしたカメとして知られているのは、セーシェルリクガメのジョナサン。182歳以上(2023年現在)という記録を持ち、地球上で最も長寿の陸上動物としてギネス世界記録に認定されています。

3. 甲羅は“防具”ではなく“骨”

カメの甲羅は、ただの防御用装備ではありません。背骨と肋骨が進化して形成された「外骨格」であり、脱いだり外したりすることはできません。言い換えれば、カメの甲羅は彼らの身体そのものなのです。

4. 水のカメと陸のカメ、どう違う?

よく混同されがちですが、「ウミガメ(海)」と「リクガメ(陸)」では生態が大きく異なります。
ウミガメは海中を滑空するように泳ぎながら生活し、陸に上がるのは産卵時のみ。一方、リクガメは乾燥した土地でのんびりと歩く暮らしを営み、水は得意ではありません。

5. 文化的象徴としてのカメ

日本では「浦島太郎」、中国では「玄武」、インドでは「ヴィシュヌ神の化身」など、カメは**神話や信仰の中で“長寿・再生・宇宙の象徴”**として語られてきました。どの文化においても、亀=神聖で深遠な存在と見なされています。


なぜ今、亀を守るべきなのか?──人類と自然の未来のために

現在、世界中の多くのカメが絶滅の危機に晒されています。とくにウミガメは、毎年数百万匹単位で漁業の混獲や海洋プラスチックの誤飲により命を落としています。

さらに、地球温暖化による気温変化は、カメの性別比にも影響を与えています。カメは卵を産んだ際、孵化時の温度によってオス・メスの割合が決まるという特徴があり、気温の上昇はメスの個体数の過多を引き起こし、生態系バランスを崩す要因となり得ます。

つまり、カメを守ることは、気候変動や環境問題に対する人類の意識を変える起点でもあるのです。


なぜ知るべきか?──“ゆっくり”が持つ、本当の価値を再発見するために

世界亀の日は、「亀を知ること=自然と向き合うこと」です。
スピードや効率ばかりが評価されがちな現代社会において、カメの存在は私たちに**“ゆっくり生きることの価値”**を教えてくれます。

自分のペースで、確実に、そして静かに進む。
その姿には、忘れかけていた“本質的な強さ”が宿っているのです。


読者へのメッセージ

5月23日の「世界亀の日」を通じて、ただ「カメってかわいい」で終わらせるのではなく、彼らが生きるこの星の現実を見つめ直してみてください。
そして、もし可能ならば、自分の暮らしの中にひとつだけ“カメのような時間”を取り入れてみてください

それは、読書の時間かもしれません。散歩かもしれません。誰かと語らう、何もしない静かな時間かもしれません。
カメがくれる贈り物は、目に見えないけれど、確かに人生を豊かにしてくれるはずです。

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