災害時に本当に困るのは、「食べられないこと」よりも「温められないこと」だと言われます。
電気・ガス・水道という三大ライフラインのうち、復旧に最も時間がかかりやすいのがガス。その空白を埋める存在こそ、家庭用のカセットコンロです。
派手な防災グッズではありませんが、非常時には“命を支える熱源”として、確かな役割を果たします。
なぜカセットコンロは「ライフライン」なのか
1.インフラに依存しない、完全独立型の熱源
カセットコンロは都市ガスやLPガスの供給網に接続されていません。
つまり、道路が寸断されても、配管が壊れても使えるということです。
電池や電源も不要。
ガスボンベを装着し、点火するだけ。
このシンプルさは、混乱しがちな災害時において、非常に大きな価値を持ちます。
2.「お湯」が手に入ることの意味は想像以上に大きい
カセットコンロがあると、まず「お湯」が沸かせます。
インスタント食品や非常食を温かく食べられる
赤ちゃんのミルクを安全に作れる
体を拭いたり、簡易的な衛生管理ができる
温かい飲み物で心を落ち着かせられる
災害時、温かいものが口に入るかどうかで、心身の疲労は大きく変わります。
この差は、実際に被災した人ほど強く語るポイントです。
ガスボンベはどれくらい備蓄すべきか
防災の目安としてよく推奨されているのが、
1人あたり1日2本 × 3日分(合計6本)。
これは、
お湯を複数回沸かす
簡単な調理を行う
ことを想定した現実的な本数です。
家族がいる場合は人数分を掛け算し、
「少し余る」くらいがちょうど良い備えになります。
意外と知られていないカセットガスの雑学
■ 使用期限は「7年」が目安
カセットガスには明確な消費期限表示がないこともありますが、
メーカーは製造後およそ7年以内の使用を推奨しています。
これは「必ず使えなくなる期限」ではなく、
安全性を最大限に保証できる期間です。
直射日光や高温多湿を避け、定期的に入れ替えれば、家庭備蓄に非常に向いています。
■ 冬はガスの減りが早い
気温が低いとガスの気化が弱くなり、火力が安定しにくくなります。
そのため、冬場や寒冷地では使用本数が増えやすいのが特徴。
冬の災害を想定するなら、通常より多めの備蓄が安心です。
キャンプ・アウトドア用コンロやバーナーは使える?
結論:使えますが、万能ではありません。
アウトドア用コンロやバーナーは、災害時にも調理や湯沸かしに活用できます。ただし、防災用途では「燃料の入手性」と「安定性」が重要です。
防災向きなのはCB缶対応タイプ
家庭用カセットコンロと同じ CB缶(カセットガス) が使えるモデルは、ガスを共用でき入手もしやすいため安心です。
注意したいタイプ
OD缶(ねじ込み式):入手性が低く、寒さに弱い
シングルバーナー:火口が小さく、大きな鍋では不安定
お湯を沸かす用途には向きますが、家族分の調理には不向きな場合があります。
室内使用は必ず換気
種類を問わず、屋内使用時は換気を徹底し、一酸化炭素中毒に注意してください。
防災での使い分け
主力:家庭用カセットコンロ(安定・入手性が高い)
補助:アウトドア用コンロやバーナー
アウトドア用品は、正しく使えば防災の即戦力になりますが、主軸は家庭用カセットコンロに置くのが安心です。
普段使いできるから「無駄にならない防災」
カセットコンロの最大の優位性は、
非常時専用ではないことです。
鍋料理
卓上調理
ベランダや屋外での簡易調理
日常で使いながら、ガスボンベをローリングストックすれば、
「買ったまま使わず期限切れ」という防災あるあるを防げます。
心を支える「小さな火」
災害時、冷たい食事ばかりが続くと、
体温だけでなく、気力まで奪われていきます。
湯気の立つスープ。
沸かしたお湯で淹れる一杯のお茶。
それらは単なる食事ではなく、
「日常がまだここにある」という感覚を取り戻させてくれるものです。
カセットコンロは、
そのための「小さな火」を守る道具なのです。
読者へのメッセージ
カセットコンロは特別な防災用品ではありません。
今この瞬間にも、ホームセンターやスーパーで手に入る、ごく身近な存在です。
だからこそ、
「いつか」ではなく「今日」確認できる備えでもあります。
コンロは家にあるか
ボンベは何本あるか
すぐ取り出せる場所にあるか
そのひとつひとつが、
非常時の安心と、あなたや家族の余裕につながります。

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