モロッコ北部、リーフ山脈に抱かれるように存在する青い街シャウエン(正式名:シェフシャウエン)英語:(Chefchaouen)。
世界中の旅行者や写真家を魅了し続けるこの街は、「青い」という視覚的なインパクトだけで語り尽くせる場所ではありません。
その色の奥には、信仰、歴史、暮らし、そして人の営みが幾重にも重なっています。
この記事では、シャウエンの成り立ちから“青”の意味、街が持つ静かな魅力までを、雑学として深掘りしながら丁寧に解説します。
シャウエンとはどんな街なのか
シャウエンは1471年に築かれた山岳都市で、もともとは外敵から身を守るための要塞都市でした。
長い間キリスト教徒の立ち入りが禁じられていた閉鎖的な街であり、現在の「観光地シャウエン」という姿は、実は比較的新しいものです。
街全体が青に包まれている一方で、規模は小さく、どこか素朴。
迷路のような路地、石畳の階段、静かな広場が連なり、歩くほどに“生活の気配”が伝わってきます。
なぜ街全体が青く塗られているのか
シャウエン最大の謎であり魅力が、「なぜこれほどまでに青いのか」という点です。
この問いに対する答えは、ひとつではありません。
● 信仰に由来する青
1930年代、スペインから移住してきたユダヤ人たちが、
天や神聖さを象徴する色として青を街に取り入れたという説があります。
● 実用的な理由
青色は蚊を寄せつけにくく、強い日差しの中でも視覚的に涼しさを感じやすいとされます。
山間部の暮らしに根ざした、生活の知恵としての青だった可能性も否定できません。
● 観光文化として定着した青
現在では、住民たちが自主的に壁を塗り直し、街の青を保っています。
観光客を迎えるためという側面もありますが、それ以上に、青い街であることが街の誇りになっているのです。
シャウエンの青は一色ではない
一見すると単色に見えるシャウエンの青。しかし、実際に歩いてみると、
淡い水色
グレーがかった青
紫を含んだ深い青
など、無数の青が存在していることに気づきます。
さらに時間帯によって印象は変わります。
朝はやさしく、昼は鮮やかに、夕方には少し陰影を帯びる――
同じ路地でも、一日の中でまったく異なる表情を見せるのがシャウエンです。
写真映えの街であり、生活の街でもある
シャウエンはSNSや旅行誌で「世界一フォトジェニックな街」と称されます。
しかしその魅力は、演出された美しさではありません。
壁際に干された洗濯物
階段で昼寝をする猫
子どもたちの笑い声が響く路地
こうした日常の断片が、青い背景と自然に溶け合っていることこそ、この街の本質です。
猫が多い理由も文化にある
シャウエンで頻繁に目にする猫たちは、単なる偶然ではありません。
イスラム文化において猫は清潔で尊重される存在とされ、街全体で大切にされています。
青い壁、石段、猫。
この組み合わせが作り出す光景は、作られた観光資源ではなく、文化が生んだ自然な美しさです。
静かに楽しめる“買い物の街”
大都市フェズやマラケシュと比べ、シャウエンの市場は落ち着いた雰囲気があります。
手織りの布製品
青を基調とした陶器
地元産のアルガンオイル
観光客向けでありながら、どこか素朴で、ゆっくり選ぶ時間が許される街でもあります。
シャウエンという街が教えてくれること
シャウエンは、「派手だから印象に残る街」ではありません。
むしろ、静かで、控えめで、歩く人の感覚を研ぎ澄ませてくれる場所です。
青に包まれた空間の中で、人は自然と立ち止まり、深呼吸をし、景色を味わいます。
それこそが、シャウエンが長く愛され続ける理由なのかもしれません。
読者へのメッセージ
シャウエンの青は、ただの色ではありません。
そこには歴史があり、信仰があり、暮らしがあります。
この街を知ることで、旅の価値は「行った場所」から「感じた時間」へと変わります。
写真の向こうにある物語を思い浮かべながら、ぜひシャウエンという街を心に留めてみてください。

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