スキップしてメイン コンテンツに移動

8月6日「ハムの日」毎日の食卓を支えるハムの歴史と知ればもっとおいしくなる豆知識

木製のカッティングボードに置かれた大きなハムと数枚にスライスされたハムを、ウォーターブラシによる水彩画風で描いたイラスト。レタスやトマト、ハーブが添えられ、やわらかな色彩でハムの質感が繊細に表現されている。

8月6日は「ハムの日」です。

朝食のトーストに添えられたハムエッグ、ランチのサンドイッチ、お弁当のおかず、彩り豊かなサラダ。私たちの暮らしの中で、ハムはごく当たり前のように食卓に並んでいます。

しかし、この身近な食品がいつ頃から食べられるようになったのか、なぜ「ハム」と呼ばれるのかをご存じでしょうか。

実はハムには、数千年にわたる歴史と、人々の暮らしを支えてきた保存技術の知恵が詰まっています。

この機会に、普段何気なく食べているハムの魅力を少し深く知ってみましょう。


8月6日は「ハムの日」

毎年8月6日は**「ハムの日」**です。

ハ(8)ム(6)」という覚えやすい語呂合わせから、**ハム・ソーセージ・ベーコンなどの食肉加工品を製造するために必要な資材の斡旋や製造機械のリースなどを手がける「日本ハム・ソーセージ工業協同組合」**が制定しました。

この記念日は、ハムをはじめとする食肉加工品のおいしさや魅力を広く知ってもらうとともに、日本の食肉加工技術や食文化への理解を深めてもらうことを目的としています。

近年では食生活が多様化し、健康志向の商品や減塩タイプ、高級生ハムなど、ハムの楽しみ方も大きく広がっています。

その一方で、「ハムはどのように作られるのか」「なぜ長期間保存できるのか」といった背景を知る機会はあまり多くありません。

記念日は、こうした身近な食品への関心を高めるきっかけにもなっています。


「ハム」という名前の由来

「ハム(Ham)」は英語で**豚の後ろ脚(もも肉)**を意味する言葉です。

現在ではロースハムや肩ロースハム、ボンレスハムなどさまざまな種類がありますが、もともとは豚の後ろ脚を塩漬けにして保存したものが「ハム」と呼ばれていました。

つまり、「ハム」は料理名ではなく、本来は肉の部位を表す言葉だったのです。

そこから保存・熟成された豚肉を指すようになり、現在では食肉加工品全体の代表的な名称として世界中で親しまれています。


ハムの歴史は古代文明までさかのぼる

ハムの歴史は非常に古く、紀元前の時代にまでさかのぼると考えられています。

古代ローマでは、肉を塩漬けにして保存する技術がすでに発達しており、長期間保存できる貴重な食料として利用されていました。

当時は冷蔵庫が存在しなかったため、肉をそのまま保存することは難しく、食料を長持ちさせるためには塩の力が欠かせませんでした。

塩は肉の水分を減らし、腐敗の原因となる細菌が繁殖しにくい環境をつくります。

さらに乾燥や燻製を組み合わせることで保存性が高まり、現在のハムへとつながる製法が少しずつ確立されていきました。

つまりハムは、「おいしい加工食品」というだけではなく、人類が長い年月をかけて生み出した保存技術の結晶でもあるのです。


中世ヨーロッパで磨かれた燻製の技術

中世になると、ヨーロッパ各地で燻製技術が発達します。

薪を燃やした煙でじっくりと乾燥・熟成させることで、保存期間が延びるだけでなく、独特の香りとうま味が加わるようになりました。

地域ごとに使用する木材や塩、熟成期間が異なり、それぞれ個性的なハムが生まれていきます。

イタリアの「プロシュート」、スペインの「ハモン・セラーノ」、ドイツの「シュヴァルツヴェルダー・シンケン(黒い森のハム)」などは、その土地の気候や伝統が育んだ代表的なハムです。

これらは現在でも世界中の人々に愛され、その地域を代表する特産品となっています。


大航海時代を支えた「保存食」

15~17世紀の大航海時代、船乗りたちは数か月もの長い航海を続けました。

もちろん、途中で新鮮な肉を手に入れることはほとんどできません。

そこで重要な役割を果たしたのが、塩漬けや燻製によって長期間保存できるハムでした。

航海だけでなく、戦場や厳しい冬を乗り越えるための保存食としても重宝され、多くの人々の命を支えてきたのです。

現在では冷蔵・冷凍技術が発達し、保存食としての役割は昔ほど大きくありません。

しかし、保存性を高めるために培われた製法が、ハムならではの豊かな香りや深いうま味を生み出していることは変わりません。

私たちが普段味わっている一枚のハムには、長い歴史の中で受け継がれてきた知恵と技術が凝縮されているのです。


日本でハムが広まったのは明治時代から

現在ではどこのスーパーでも手軽に購入できるハムですが、日本で本格的に作られるようになったのは明治時代です。

江戸時代までの日本では、仏教の影響などもあり、肉食の文化は現在ほど一般的ではありませんでした。しかし、明治維新によって西洋文化が急速に取り入れられるようになると、食生活も大きく変化します。

文明開化の流れの中で牛肉や豚肉を食べる習慣が広まり、欧米から伝わった食肉加工技術によってハムやソーセージの製造も始まりました。

特に外国人居留地があった横浜や神戸では、外国人向けに本格的なハムが製造されるようになり、その技術が全国へと広がっていきます。

やがて日本人の味覚に合わせた改良が重ねられ、現在ではロースハムやボンレスハム、あらびきソーセージなど、日本ならではの商品も数多く誕生しています。


ハム・ベーコン・ソーセージの違いとは?

スーパーでは同じ売り場に並んでいることが多いため、「どれも似たようなもの」と思われがちですが、それぞれ製法や原料が異なります。

ハム

ハムは豚肉の塊を塩漬けし、乾燥・燻製・加熱などの工程を経て作られる食肉加工品です。

肉本来の食感を生かしているのが特徴で、しっとりとした口当たりと上品なうま味を楽しめます。

ベーコン

ベーコンは主に豚バラ肉を塩漬けし、燻製したものです。

脂身と赤身が層になっているため、加熱すると脂の甘みと燻製の香りが引き立ちます。

朝食の定番として目玉焼きと組み合わせたり、パスタやスープの具材としても人気があります。

ソーセージ

ソーセージは豚肉や牛肉などを細かく挽き、塩や香辛料を加えて練り合わせ、羊腸や人工ケーシングなどに詰めて作られます。

種類によって食感や風味が大きく異なり、あらびき、ウインナー、フランクフルト、ボロニアソーセージなど、多彩なバリエーションがあります。

このように同じ食肉加工品でも、それぞれ異なる魅力を持っています。


ハムにはこんなに種類がある

一口にハムといっても、使われる部位や製法によって味わいは大きく変わります。

ロースハム

最も親しまれているハムです。

豚のロース肉を使用しており、赤身と脂身のバランスが良く、やわらかな食感が特徴です。

サンドイッチやハムエッグ、サラダなど幅広い料理に使われています。

ボンレスハム

豚のもも肉を使用したハムです。

「ボンレス(Boneless)」とは「骨なし」という意味で、脂肪分が比較的少なく、あっさりとした味わいが楽しめます。

昔ながらのお中元や贈答品としても人気があります。

ショルダーハム

豚の肩肉を使ったハムです。

赤身が多く、しっかりとした肉のうま味を感じられるため、料理に加えても存在感があります。

生ハム

「生」という名前から、生肉を連想する人も少なくありません。

しかし、生ハムは文字どおりの「生肉」ではありません。

塩漬けした肉を長期間乾燥・熟成させることで、水分を減らし、保存性とうま味を高めています。

加熱しないからこそ、熟成によって生まれる芳醇な香りや濃厚な味わいを楽しめるのです。


世界には地域ごとの名物ハムがある

ハムは世界中で親しまれていますが、それぞれの国や地域によって製法や味わいが異なります。

プロシュート(イタリア)

イタリアを代表する生ハムです。

塩だけでじっくり熟成させる伝統製法が特徴で、繊細な塩味と上品な甘みがあります。

ハモン・セラーノ(スペイン)

スペインを代表する生ハム。

山岳地帯の乾燥した気候を生かして熟成させるため、香り高く、しっかりとしたうま味が楽しめます。

シュヴァルツヴェルダー・シンケン(ドイツ)

「黒い森のハム」とも呼ばれ、ドイツ南西部の黒い森地方で作られる伝統的な燻製ハムです。

モミの木などでじっくり燻製することで、深い香りと豊かな風味が生まれます。


ハムのおいしさを生み出す「熟成」の力

ハムのおいしさの秘密は、単に肉を加工しているからではありません。

大きな役割を果たしているのが熟成です。

塩漬けされた肉は、一定期間じっくりと熟成させることで、肉に含まれるたんぱく質が分解され、グルタミン酸をはじめとするアミノ酸が増えていきます。

これらの成分が、私たちが「うま味」と感じる豊かな風味を生み出します。

さらに燻製を行うハムでは、木材の煙に含まれる香り成分が加わることで、食欲をそそる独特の香ばしさが生まれます。

長い時間をかけて丁寧に作られたハムほど、味わいに奥行きがあり、一枚でも満足感を得られる理由はここにあります。


ハムは栄養面でも優れた食品

ハムは加工食品というイメージがありますが、栄養面でもさまざまな魅力があります。

主な栄養素には次のようなものがあります。

  • 良質なたんぱく質

  • ビタミンB1

  • ビタミンB12

  • ナイアシン

  • 亜鉛

  • 鉄分

たんぱく質は筋肉や皮膚、髪など体をつくるために欠かせない栄養素です。

また、豚肉由来のビタミンB1は糖質をエネルギーに変える働きを助けることで知られています。

もちろん商品によって塩分量は異なるため、野菜や果物などと組み合わせながら、バランスよく取り入れることが大切です。


もっとおいしく味わうためのポイント

ハムはそのままでも十分おいしい食品ですが、少し工夫するだけで風味をさらに楽しめます。

冷蔵庫から出して少し置く

冷蔵庫から取り出してすぐよりも、5〜10分ほど常温になじませることで脂の香りが立ち、うま味を感じやすくなります。

特に生ハムでは、この違いがはっきりと分かります。

加熱しすぎない

ロースハムやボンレスハムは、軽く温める程度がおすすめです。

焼きすぎると水分が抜け、食感がかたくなってしまうことがあります。

香ばしさを楽しみたい場合も、表面を軽く焼く程度がちょうどよいでしょう。

野菜や果物との相性も抜群

ハムはレタスやトマトだけでなく、メロンやイチジク、リンゴ、桃など甘みのある果物ともよく合います。

塩味とうま味が果物の甘さを引き立て、互いのおいしさをより感じられる組み合わせになります。

世界各地で生ハムとフルーツの組み合わせが親しまれているのも、その絶妙な味のバランスによるものです。


知っていると話したくなるハムの豆知識

「ハムエッグ」は海外では意外と珍しい?

日本では定番の朝食として親しまれているハムエッグですが、海外ではベーコンやソーセージを添えるスタイルが一般的な国も少なくありません。

国ごとの食文化の違いが、朝食メニューにも表れています。

お中元でハムが人気になった理由

大きなロースハムやボンレスハムは、昭和時代からお中元やお歳暮の定番ギフトとして親しまれてきました。

当時は家庭で大きな肉の塊を購入する機会が少なく、日持ちもしやすい高級食品だったことから、「特別な贈り物」として人気を集めたのです。

現在でも贈答用ハムは、多くの家庭で季節の贈り物として選ばれています。

世界には数年熟成させるハムもある

一般的なハムは数週間から数か月で完成しますが、生ハムの中には2年以上、さらに長いものでは3年以上熟成させる製品もあります。

長い時間をかけることで水分がゆっくり抜け、うま味が凝縮され、香り豊かな味わいへと変化していきます。

時間そのものが、おいしさを育てる調味料ともいえるでしょう。


読者へのメッセージ

毎日食べているハムは、決して「身近な加工食品」という一言では語り尽くせません。

古代から受け継がれてきた保存の知恵、世界各地で磨かれた熟成技術、日本で発展した食文化、そして現在も品質向上を続ける職人たちの努力。

一枚のハムには、人々の暮らしと歴史、そして食への工夫が詰まっています。

8月6日の「ハムの日」は、そんなハムの魅力をあらためて見つめ直す絶好の機会です。

朝食のサンドイッチ、お弁当の一品、サラダやオードブルなど、いつもの食卓に並ぶハムも、その背景を知ることで味わいはきっと違って感じられるでしょう。

普段何気なく口にしている食品の歴史や文化に目を向けることは、食事そのものをより豊かな時間へと変えてくれます。

今年の「ハムの日」は、お気に入りのハムを味わいながら、その長い歴史と人々の知恵に思いを巡らせてみてはいかがでしょうか。


関連記事

コメント