1. 世界最大級の先史時代の人工丘
シルベリー・ヒルは、イングランドのカウンティであるウィルトシャー州のエーヴベリー近郊にある、先史時代の人工のチョークの塚です。
高さ約39メートル、底部の直径は約160メートルに及び、そのスケールはエジプトのピラミッドにも匹敵します。紀元前2400〜2300年頃、約4500年前に造られたと推定されており、ヨーロッパ最大の人工土塚として知られています。
2. 世界遺産としての価値
シルベリー・ヒルは、ストーンヘンジ、エーヴベリーと関連する遺跡群の一部として、国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産に登録されています。
現在は内部への立ち入りが制限されていますが、近くの遊歩道からその雄大な姿を眺めることができ、4500年前の先史時代の人々の信仰と技術力を感じることができます。
3. 膨大な労働力と精密な構造
考古学調査によると、丘の建設には約25万立方メートルの土が使用され、延べ50万人日の労働力が必要だったと推定されています。
石器時代の道具で、これほど大規模な土木工事を成し遂げた古代人の技術力と組織力は驚異的です。内部は層状に土や粘土、石灰などが積まれ、まるで精密に設計された建築物のようです。
4. 埋葬ではなく「信仰の象徴」だった?
長年、墳丘墓と考えられてきましたが、発掘調査では人骨や副葬品がほとんど見つかりませんでした。
このため、現在では宗教儀式や天体観測のための聖地であった可能性が高いとされます。
太陽や月の動き、季節の変化を観測するためのランドマークだったと考えられています。
5. アヴェベリー遺跡との神聖な連なり
シルベリー・ヒルの周囲には、アヴェベリー環状列石やウェスト・ケネット・ロング・バローなどの遺跡が点在しています。
これらは一直線上に配置され、古代の人々にとって重要な「聖なるライン」を形成していました。
シルベリー・ヒルは、広大な宗教的景観を構成する中心的存在だったのです。
6. 王と悪魔の伝説
古くから多くの伝説が語り継がれています。
「丘の中には金の棺を持つ王シル(King Sil)が眠っている」という伝説や、「悪魔がマールボロの町を埋めようとして運んできたが、太陽の光で力を失い置き去りにした」という民話も残されています。
こうした神話は、古代人がこの丘に超自然的な力を感じていたことを示しています。
🌾 まとめ:大地が語る太古の叡智
シルベリー・ヒルは、単なる土の山ではなく、古代人の信仰・科学・芸術・組織力が融合した「大地のモニュメント」です。
4500年の時を経てもなお崩れず、堂々と立ち続ける姿は、人類史における想像力の結晶といえるでしょう。
💬 読者へのメッセージ
イングランドを訪れるなら、ストーンヘンジだけでなく、ぜひシルベリー・ヒルにも足を運んでみてください。
観光地として派手さはありませんが、静かな丘と草原の風景の中で太古の人々の息づかいを感じることができます。
丘の存在そのものが、私たちに「人間の原点とは何か」を問いかけてくれるでしょう。
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