■「おだしの日」の由来
10月28日は「おだしの日」。
この記念日は、**出汁にこだわった飲食チェーン店を展開する「株式会社太鼓亭(本社:兵庫県伊丹市)」**が制定しました。
日付の由来は、おだしの代表格・鰹節の新たな製法を考案した「角屋甚太郎(すみやじんたろう)」氏の命日にちなむもの。
角屋氏は江戸時代後期、現在の鹿児島県枕崎市で「焙乾法」という鰹節づくりの画期的な技術を生み出し、香り高く保存性の高い“本枯節”の礎を築いた人物です。
この功績を称え、日本の食文化の象徴ともいえる「おだし」への感謝と継承を目的に制定されました。
■おだしが支える日本の味
おだし(出汁)は、和食の根幹を成す「旨味のベース」。
素材の持つ味を引き出し、調味料を控えめにしても深い味わいを生み出す“引き算の料理文化”です。
代表的なだしの種類には、以下のようなものがあります。
-
かつおだし:香りとコクが強く、味噌汁や煮物の基本。
-
昆布だし:まろやかで上品。京料理や精進料理に欠かせない。
-
煮干しだし:力強い旨味で、うどんやラーメンの出汁に最適。
-
椎茸だし:植物性の旨味が特徴で、ベジタリアンにも人気。
この「旨味」は、グルタミン酸・イノシン酸・グアニル酸といった成分が織りなす、世界でも注目される味覚の科学。
複数の旨味を掛け合わせることで、驚くほど豊かな味わいが生まれます。
■ユネスコにも認められた「和食」とおだし
ちなみに、おだしを使う「和食」は、2013年にユネスコ無形文化遺産に登録されました。
登録理由のひとつが「自然の恵みを生かす調理技術」──まさに“おだし文化”が評価された証です。
世界のシェフたちも「UMAMI(うま味)」の研究を進め、日本のだし文化を手本にしています。
■「おだしの日」に感じる日本の心
現代では、だしパックや液体だしで簡単に旨味を加えることができますが、
時間をかけて昆布やかつお節からだしを取ると、香りや味だけでなく“心の豊かさ”まで感じられます。
10月28日は、そんな「おだしを思い出す日」として、丁寧な一椀を味わってみてはいかがでしょうか。
■読者へのメッセージ
今日は10月28日「おだしの日」。
お味噌汁を一杯、だしから取ってみるだけで、普段の食卓が少し贅沢になります。
おだしの香りと旨味は、日本人の心そのもの──。
“いただきます”の原点を、改めて感じる一日にしてみましょう。

コメント
コメントを投稿