それは、ヴィクトリア時代の誇りと革新が融合した“動く建築遺産”。
ロンドンを象徴する風景のひとつとして世界中に知られていますが、
その裏には驚くほど奥深い歴史、技術、そして人々の情熱が隠れています。
今回は、そんなタワーブリッジの“知られざる雑学”をたっぷりご紹介します。
🕰️ 世界を魅了する「開く橋」の誕生
ロンドン・タワーブリッジが完成したのは、1894年。
当時、ロンドンは急速な発展を遂げており、
テムズ川を行き交う船舶の交通と、陸上交通の両立が大きな課題でした。
この難題を解決するために採用されたのが、バスキュール(跳ね橋)+吊り橋という構造。
中央部分が跳ね上がることで船が通過できる仕組みになっており、
橋の開閉にはわずか約1分しかかかりません。
現在は電気油圧式で動いていますが、
当時は巨大な蒸気機関によって橋が動いていたというから驚きです。
まさに“ヴィクトリア工業革命の象徴”とも言える存在なのです。
⚖️「ロンドン橋」との混同に注意!
観光客がよく間違えるのが、「ロンドン橋(London Bridge)」との混同。
実は、「ロンドン橋」は別の橋で、デザインもシンプルで装飾はほとんどありません。
一方の「タワーブリッジ」は、重厚なゴシック様式の双塔がそびえる華麗な橋。
つまり、あなたが思い浮かべる“あのロンドンの象徴的な橋”は、
ロンドン橋ではなく、タワーブリッジなのです。
🎨 美しさの裏にあった市民の反発
当初、タワーブリッジの建設計画が発表されたとき、
多くのロンドン市民は「醜い鉄骨の橋なんて見たくない!」と反対しました。
その声に応える形で、設計者のホレス・ジョーンズ卿(Sir Horace Jones)は、
壮麗なヴィクトリア朝ゴシック・リバイバル様式を採用。
鉄骨構造を石造の装飾で包み込み、歴史的街並みに調和させました。
結果として、タワーブリッジは機能美と芸術性の両立を果たし、
今では「世界で最も美しい跳ね橋」として称賛されています。
👣 スリル満点の“空中ウォークウェイ”
タワーブリッジの上部には、歩行者用の「ウォークウェイ」が設けられています。
もともとは、橋が開いている間も人が通行できるように造られた通路ですが、
現在は展望ギャラリーとして公開されています。
床の一部がガラス張りになっており、真下を車や船が通過する様子を見下ろせます。
まるで空中を歩いているかのようなスリルと絶景が味わえる、
まさに“ロンドンでしかできない体験”です。
🎬 映画を彩るロンドンの象徴
タワーブリッジは、その圧倒的な存在感から映画にも数多く登場しています。
代表的な作品は以下の通り:
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🎥 『ハムナプトラ3/呪われた皇帝の秘宝』(2008年)
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🎥 『シャーロック・ホームズ』(2009年)
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🎥 『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』(2018年)
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🎥 『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』(2019年)
 
スクリーンの中でも、タワーブリッジは“ロンドンそのもの”として描かれ続けています。
⚙️ 橋を「開ける」には予約が必要!
驚くことに、タワーブリッジの開閉は現在でも実際に行われています。
大型船舶が通過する際には、24時間前までに申請すれば開橋が可能です。
しかも、その手続きは無料。
ただし、許可されるのは特定の条件を満たした船のみ。
年間では約800回も開閉が行われており、運が良ければその瞬間に立ち会えるかもしれません。
🏗️ タワーブリッジの基本データ
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名称:タワーブリッジ(Tower Bridge)
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所在地:イギリス・ロンドン、テムズ川
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竣工年:1894年
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設計者:ホレス・ジョーンズ卿(Sir Horace Jones)
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構造形式:バスキュール(跳ね橋)+ 吊り橋構造
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全長:約244メートル
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塔の高さ:約65メートル
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開閉角度:最大86度
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開閉時間:約1分(電気油圧式)
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旧開閉方式:蒸気機関による油圧システム
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開閉回数:年間約800回
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用途:車両・歩行者の通行、および船舶の通過補助
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上層部施設:ウォークウェイ(展望通路・ガラス床あり)
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特徴:ヴィクトリア朝ゴシック様式の装飾が施された美しい外観
 
🌉 旅人へのメッセージ
タワーブリッジは、過去と現在をつなぐ“生きた遺産”です。
昼は荘厳な姿でロンドンを見守り、夜はライトアップで幻想的に輝きます。
橋の上を歩くと、風の音とともに感じるのはロンドンの息吹そのもの。
ヴィクトリア時代の職人たちの誇り、産業革命の躍動、そして今を生きる街の鼓動が重なります。
もしあなたがロンドンを訪れるなら——
「タワーブリッジを渡る瞬間」こそが、真のロンドン体験です。

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