巫女装束といえば、日本の神社で神に仕える巫女たちが身にまとう美しい衣装。その特徴的な白と赤の組み合わせには、古代からの深い意味が込められています。しかし、巫女装束がどのように誕生し、どのような役割を持ってきたのか、詳しく知る機会は意外と少ないのではないでしょうか。
本記事では、巫女装束の歴史、色彩の意味、種類の違い、神社ごとの特色、巫女の役割の変遷、あまり語られることのない「下着問題」や「トイレ事情」についても詳しく解説し、巫女装束の奥深い魅力に迫ります。
1. 巫女装束の起源:平安時代の貴族文化がルーツ
巫女装束のデザインは、日本の宮廷文化が発展した平安時代(794年~1185年)にまでさかのぼります。
当時の貴族女性は、白い上衣である「小袿(こうちき)」と、赤系統の「裳(も)」を身に着けることがありました。この装いが、神職としての巫女の服装に取り入れられ、現在の「白衣(はくい)」と「緋袴(ひばかま)」の形に定着したのです。
しかし、巫女装束が全国的に統一されたのは意外にも近代に入ってから。それまでは神社ごとに異なる装いが存在し、時代によって変化してきたことが、巫女装束の多様性を生んでいます。
2. なぜ「白」と「赤」なのか? 巫女装束の色彩に込められた意味
巫女服の色には、それぞれ神道的な意味が込められています。
◼ 白衣(しろい)—神聖なる清浄の象徴
白は、日本において「清浄」「純潔」「神聖」の象徴。神道では、神に仕える者は穢れを遠ざける存在であるべきとされ、白衣はその純粋さを示す衣装として用いられています。
さらに、白は死装束にも使われる色であり、「神の世界と現世をつなぐ存在」である巫女の立場を表すとも考えられています。
◼ 緋袴(ひばかま)—魔除けと生命の力
赤は「魔除け」の色とされ、古来より邪気を払う力があると信じられてきました。特に女性は生命を宿す存在であることから、出産時に赤い布を用いたり、赤い産着を着せる風習がありました。巫女の赤袴もまた、邪悪なものを寄せ付けず、神聖な力を持つことを象徴しています。
このように、白と赤の組み合わせは単なる伝統ではなく、神と人をつなぐ神聖な役割を持つ巫女の存在そのものを表しているのです。
3. 巫女装束の下着事情:伝統と現代の変化
巫女服の下にはどのようなものを着るべきなのか? これは意外と知られていない興味深い話題です。
◼ 伝統的な巫女装束の着付け
昔の巫女装束は、基本的に「長襦袢(ながじゅばん)」や「裾よけ(すそよけ)」のような和装用の肌着を身に着けていました。和服の基本的な考え方として、洋服のような下着(特にブラジャーのようなもの)は不要とされていたのです。
理由としては以下のような点が挙げられます。
和装は直線的なシルエットを重視
巫女装束はゆったりとした作りになっており、体のラインを隠すデザインになっています。洋服のように体にフィットする下着はかえって邪魔になり、着崩れの原因となるため、昔は不要とされていました。巫女は「清浄であるべき」という考え方
巫女は神に仕える存在であり、人工的な装飾を極力避けるべきとされていました。そのため、飾り気のない白の長襦袢や裾よけのみを着るのが一般的だったのです。
◼ 現代の巫女装束の下着事情
現在では、和装の考え方を尊重しつつも、動きやすさや現代の価値観に合わせて下着を身に着けるケースが増えています。
- ブラジャー:スポーツブラのような体にフィットするものを推奨する神社が多い。
- ショーツ:一般的に白系統のシンプルなものを着用。透けないように注意が必要。
- 肌襦袢(はだじゅばん):直接白衣の下に着ることで、汗の吸収や透け防止になる。
また、神社によっては「巫女装束の正式な着用方法」として、下着の種類を指導することもあります。
4. 巫女装束のトイレ事情:緋袴の難しさと工夫
巫女服は一見シンプルに見えますが、実は着用時のトイレ事情が意外と大変です。
◼ 緋袴は「スカート」ではなく「ズボン」
巫女の緋袴は、見た目こそスカートのように見えますが、実は「馬乗り袴」と呼ばれるズボン型の構造になっています。そのため、普通のスカートのように簡単にまくり上げることはできず、以下のような方法で対応する必要があります。
- 袴の後ろ部分を持ち上げる
- 前部分もめくるようにして固定
- 長い袖が邪魔にならないように注意する
また、袴の紐はしっかり結んであるため、ほどく必要はありません。動きづらさはあるものの、慣れるとスムーズにできるようになります。
5. まとめ:巫女装束の奥深い魅力と実用性の工夫
巫女服は単なる伝統衣装ではなく、神道の思想や日本の文化が凝縮された特別な存在です。その着用には細かな決まりや工夫があり、特に下着やトイレ事情など、実際に着てみないと分からないポイントが多いのも特徴です。
次に神社を訪れた際には、巫女装束の細かな違いや、巫女の所作に注目すると、さらに深い魅力を感じられるかもしれません。
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